メッセンジャー:仁科宣雄師
「知恵を求めたソロモン」 ( 列王記Ⅰ 3章 1~15節 )
「ここ10年ほど前から使われるようになった「ミニマリスト」という、「最低限の物だけをもって生活する人」が増えてきました。必要のないものを処分することで生き方が変わり、ストレスも減るというのです。人生において本当に必要な物は?信じる者には聖書にある「神の知恵」を通して奥深い生き方を示してくれます。ソロモンを通して学びましょう。
Ⅰ.ソロモンの王位継承 (列王記Ⅰ 2:1~12)
ダビデ王には多くの子がいましたが、神はバテ・シェバとの子であるソロモンを後継者に任命なさいました。王位に就いたソロモンに、ダビデは王の心得を与えます。
人として王としての品格については「強く、男らしくあれ。」と簡潔に(2:2)。主なる神との関係については詳細に、先の「私について主がお告げになった約束」に言及し、この「約束」が果たされるために「主の戒めを守り、誠実に主の道を歩め。そうすれば何をしても栄える」と(2:3,4)。それはダビデ自身が体験してきたことでした。
また、王位を確立するうえで脅威・障害となる人物を、「知恵を用いて」排除するよう指示し、この助言に従い、ソロモンは異母兄アドニヤの謀反事件、ヨアブ、シムイの問題を次々と解決していき、その結果「王国はソロモンによって確立した」のです(2:46)。
Ⅱ.ソロモンの求めた神の知恵 (3:1~15)
ダビデが死に、ソロモンは正式に王となります。ソロモンは主を愛し、高き所で礼拝し主に従って王としての職務にあたりました。神もそんなソロモンに応え、夢の中で「何を与えようか。願え」と語りかけてくださいました(3:5)。ソロモンは自分がまだ未熟だと自覚し、「善悪を判断してあなたの民をさばくために、聞き分ける心をしもべに与えてください」と願ったのです(:9)。ソロモンにとって、この国は神の一方的な恵みで成り立っている王国であり、その神の民をお預かりし、主に変わって治める以上、神の助けをいただく必要があると、そのために「聞き分ける心」を求めたのでした。それは主のみこころにかなったことであり、知恵や判断力に加えて、ソロモンが願わなかった富も誉れも与えると約束してくださいました(3:11~14)。イエスの教える「まず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば・・・それに加えて与えられます」とのみことばを先取りするような王とソロモンのやり取りです。
Ⅲ.神の知恵によるさばき (3:16~28)
ソロモンは「神の知恵によって」遊女二人の訴えに対し見事なさばきをすることができました(3:16∼27)。人々は神を畏れ神の知恵を見ることとなりました(3:28、4:29)。
ヤコブの手紙1:5 「神の知恵」は、本当は誰もが必要としているものです。それに気づき、求める人に、神は「誰にでも」「とがめることなく」広い心で知恵を授けてくださると約束しています。私たちは、どうしたら教会に人が集まってくれるかと願い祈りますが、まず私たち自身を「神の知恵で満たしてください」という祈りが必要です。ソロモンの名声は広く周囲の国々に知れ渡ると同時に、あらゆる国の人々が彼のもとに集まってきたのです(4:34)。私たち一人ひとりが満たされて、主の知恵が語られる時、人々は私たちを通して主のことばを聞こうと集まってくるのです。
結 論
知恵とは人生を実り豊かに生きるために欠かせないものですが、聖書では特に、自分の創造者である神とそのみこころを知ることから得られる知恵を意味します。(箴1:7) 今年も実りの秋を迎えます。「今年は何を実らせてくださるのか」、神の知恵を祈り求めつつ、期待してまいりましょう。