メッセンジャー:仁科宣雄師
「王妃に選ばれたエステル」」 (エステル記 1~4章 )
歴史の中で忘れ去られてしまうような主の民を、神はエステルを用いて守り導かれたのです。エステルとは、ペルシア語で、「星」の意味、もともとの名は、ハダサ(2:7)と言い、夏になるとたくさんの白い花が咲きます。星も、野に咲く花も、無数の存在の中の一つです。神は、無数の中の一人の女性をどのように用いられたでしょうか。
Ⅰ.王妃に選ばれたエステル (1,2章)
ペリシャの王クセルクセスは、大宴会を催し、その席で彼の妻ワシテを皆に披露しようと、宴席に出てくるように命じますが、妻がその命令に従わないことに激怒します。側近たちはワシテを失脚させ、新しい妃の選出を提案し、王の怒りを鎮めたのでした。 新しい王妃選びが行われる中で、エステルが候補者に選ばれます。両親と死別し、モルデカイの養女として育った彼女は自分がユダヤ人であることを公にはしていませんでした。彼女が、監督官の「目にかない」、周囲の人たち全員の「好意を受け」、ついには「王の好意と寵愛を受け」ます。これらの背後で神が働いていたことを表しています。
Ⅱ.ハマンによる民族の危機 (3章)
王に重用されていたハマンは、「自分にひざをかがめてひれ伏せ」という要求に従わないモルデカイに憤りと憎しみをつのらせ、ついに、ユダヤ民族全体をなきものにするという尊大な謀略を巡らしたのです。王に全ユダヤ民族虐殺命令を進言し、王は、慎重に考えることなく、ハマンの進言通りに王命をくだしてしまい、民族に危機が迫ります。
Ⅲ.エステルの決意の背後の祈り (4章)
神のみを礼拝するという信仰の歩みをしているのに、それが民族存亡の危機を招くこと になるとは…モルデカイは、神の前にへりくだり、断食して祈りました。それに民全体も伴 います。この様子を聞いたエステルは動揺し、使いを通して、モルデカイから事情を聞きま す。養父モルデカイは、全これまでの経緯と全ての民族に死が及ぶことを伝え、エステル にも王のあわれみを乞うようにと命じたのです。しかしエステルの返事は、「わたしには無 理です」に等しいものでした。これを聞いたモルデカイは「…あなたがこの王国にきたのは もしかすると、このような時のためかもしれない。」と、あなたが王宮にいるのは神の導きで あり、あなたはこの事態にどう答えるのか。」と問いかけます。エステルは「…私もわたしの 侍女たちも、同じように断食します。そのようにしたうえで、法令に背くことですが、私は王 の所へ参ります。」と、自分の命をかける決心をしたのです。エステルはモルデカイに断食 を要請します。「王の心を動かすのは私ではなく、神です。」と、神への絶対的信頼をもっ て、人生を導いていてくださっている神のなすことに従うという信仰告白でした。 エステルたちは神が不在であるかのような試練に直面しましたが、目には見えなくても、神はすべてをご存知であり、自分に信頼する者を助け、救い、誠実を尽くしてくださることを証ししています。背後にあって支え、神の時のもって確かに導かれる神を仰ぎ見、信頼し続けることは、「神がいない」とされる今を生きる私たちへのメッセージです。
結 論
私たちは神の作品であって良い行いをするためにキリスト・イエスにあって造られました。その良い行いもあらかじめ備えていてくださいます。そして、それを素直に受け止め、歩めるようにと、賜物としての「信仰」が与えられています。しかし、決して容易なことではありません。また、それを受け入れられない多くの人がおられることも覚えて、私たちは祈る使命を与えられています。多くの痛みを見聞きする中で、日々、主の御声に聞き従いつつ、主にあって証しとなるお互いとさせていただきましょう。 |