2023年6月25日世界宣教デー礼拝メッセージ 「バベルの塔」

メッセンジャー:仁科宣雄師

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「バベルの塔」                  (創世記 11章1~9 節)

今日の箇所「バベル」とは「混乱」という意味があります。大きな事業ほど綿密な計画が必要で、専門的な分野に分かれて進められますが、それぞれが専門用語を使うことでコミュニケーションがとれず、計画が進まない状況が生まれる、それを「バベルの塔症候群」というそうです。コロナ感染状況も5類に移行し、ことばを介してのつながりが戻ってきましたが、社会に役立つ、みんなの笑顔が増える言葉が行き交うことを願っていきましょう。

Ⅰ、技術革新による塔の建設        (11:1〜4 )

大洪水のあとノアの子孫が増え広がり、再び地上は人々が住むようになりました(10章). 人々は同じ言語を用い、誰とでも話すことができました。また、れんがと瀝青(アスファルト)という高度な技術革新によって、高い建物を建設できるようになりました。人々は得意になって、「たくさんの家を造り、ここを立派な街にし、町の中心には天にまで届く塔を建ててやろう」と、力を合わせて塔を建て始めました。それは、自分たちの力と技術を誇って名を上げるため、また自分たちが地の全面に散らされないようにこの町を偉大なものとするためでもありました。神の「地に満ちよ」と命じられたこととは逆の考えです。人々は、自分たちを生かし、知恵と力を与えてくださっている神様のことを忘れ、「自分たちの力で何でもできる」と思い上がり、自分たちの栄誉を追い求めることに夢中になっていたのです。

Ⅱ、神の御介入によることばの混乱     (11:5〜9)

人間が天に届くほど高く造ったつもりでも、神の目には低いものでした(:5)。言葉が通じ合うことは、神から与えられた祝福であり、それを用いるならば「彼らが企てることで、不可能なことは何もない(:6)」のです。しかし人々は神の意図に反して、「悪」のために用いたのです。そんな野望に満ちた人間の計画を、神は「ことばを通じないようにさせる(:7)」という方法によってとどめられたのです。現場は大混乱となり、工事を進められません。人間が自分の力を過信し、それを誇ろうとも、神に喜ばれない野望は、偉大な権威をもつ神の前には全く無力なのです。こうして人々は、塔の建設を諦めて、言葉の通じる者たち同士が集まり、それぞれが違う所に移っていきました。神は、人が神に反逆するのを止めさせることで、人間が地に満ちるご計画を実現なさったのです。
この後、神はアブラハムを通して、地の全ての人に祝福をもたらす約束を下さいました。さらに、アブラハムの子孫として誕生したイエスの十字架と復活と聖霊の降臨によって、世界中のすべての人に救いが備えられたのです。イエスの弟子たちによって、福音は世界中に広がり、異なる場所で、異なる言語を使う人々が信仰によって一つとなっています。

Ⅲ、主の喜ばれる塔の建設      (ピリピ2~12,13

神様は、「塔を建て上げること」が悪いとは言ってはいません。ジョン・ウエスレーは「大いに稼ぎ(金銭だけでなく)、大いに倹約し、大いに与えよ」と、明確な目標をもって与えられている賜物を生かすことが神の喜ばれること、望んでおられることであると語ります。主に罪赦された私たちの身体は聖霊の宮とされており、神に呼び集められた集団(エクレシア=教会)と言われます。今、すでに目に見える教会堂は立っていますが、その実質的な主の働きが私たち一人ひとりを通して進められます。私たちは主の日を待ち望みつつ、共に心を合わせ、主のことばを用いてこの世に真の教会を建て上げることができるのです。

結  論

私たち人間は、一人でできることは限られていますが、心を一致させ、共に持てるものを寄せ合う時、どんなこともできる力が与えられています。与えられた力に感謝し、神の栄光を拝しつつ、神と人に喜ばれる教会を建て上げてまいりましょう。

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