メッセンジャー:仁科宣雄師
「人の思惑と神のみこころ」 (創世記 25章 20~34節)
人の性格の良し悪しは表裏一体です。人が1つの計画を進める時、能力だけでなく 性格も関わってきます。そして、結果が出た時にその性格も評価されることでしょう。
Ⅰ、リベカに示された神の御計画
「信仰の父」と呼ばれるアブラハムは「あなたの子孫は星の数ほどになり…」との神の 約束をいただき、子どもが与えられたのは100歳の時。その子イサクがリベカと結婚したのは40歳、子どもが与えられたのが20年後と、神の約束は忍耐と信仰を伴うものでした. イサクとリベカに与えられた子どもは双子。母の胎の中ですでに兄弟の戦いが始まっ ていました。神は母となるリベカに「その二人は二つの国民の「祖」となり、兄が弟に仕える」と、そのみ心を示されました。 信仰生活には、神が事態を動かしてくださる経験ばかりではなく、一歩も立ち入ること のできない神の絶対顕現に触れ、畏怖をもって神に従うのみという経験があるのです。圧倒的な神のご支配に心から委ねられる信仰の助けとなるのが、「聖霊」の働きです。
Ⅱ.4人に見る人間の弱さ
兄エソウは性格は荒く、野生的で猟人となり、父に特別に愛されます。弟ヤコブは兄とは性格も見かけも正反対で、穏やかで天幕の中にいて働き、母に特別に愛されます。 ①弟ヤコブ…生まれる前から兄よりも先に、優位に…と、弟だから下位であることを受け入れません。人を欺いても奪い取るほどの野心家でもあり、兄から奪い取ります。 ②兄エソウ…長子の権利には神様の特別な祝福という意味があることも悟らず、目の前にある一杯の煮物と交換するという、ヤコブの取引に応じてしまいます。 ③父イサク…家長の権利を受け継ぐのは、「ヤコブ」であるとリベカから聞いていながら、自分が愛するエサウを祝福しようと、時を定め、実行しようとエサウを動かします。 ④リベカ…イサクの計画を知って、ヤコブがエサウよりも先に祝福の祈りを受けるよう、巧妙な手口を考え、ヤコブと結託して、その祝福を奪い取ります。 たとえ「神の家族」であっても、それぞれが自分の欲望、思惑を優先させるならば、分裂・滅びです。心を一つにして神のみこころを問い続けることを忘れてはいけません。
Ⅲ.神と出会うヤコブ 28章
常に兄と「闘争」し、勝ちを得たヤコブですが、ここで一人「逃走」の旅へと放り出されます。父の信仰から離れて神の前に裸の状態のヤコブに神はイサクの子としてではなく、一人の愛する子として表れてくださいました。夜、石を枕に寝ている時、天と地をつなぐはしごを上り下りする御使いを見て、ヤコブの手にした「神の祝福」の真の豊かさを見せられます。同時に父の口から聞いたと同じ神の約束を直接聞きます。彼は、「まことに主はこの場所におられる。それなのに、私はそれを知らなかった」と初めて自分の神としての臨在を覚えたのです。神の前に恐れおののいてこの所を「神の家」「天の門」と名づけ、聖別し、誓願を立てたのでした。ヤコブが見た夢は、後にイエスご自身がそのはしごとして天の神と人との間の仲介者となられることを言い表しています(ヨハネ1:51)。神は私たちの弱さや間違いを通してこそ、ご自分と向き合うことを教え、主の十字架を示し、神の愛に生きることを教えてくださるのです。
結 論
イエスの十字架によって、私たちの視野は狭い現実から天の祝福へと広げられます。自分で頑張って奪い取る祝福ではなく、「あなたを祝福の基とする」との約束にたって、神の祝福へと招き入れて下さる神に感謝をささげましょう。