メッセンジャー:仁科宣雄師
「人の思いを超える神のご計画」 (創世記 37章 5~11節)
本日の御言葉(箴言19章21節)
「人の心には多くの思いがある。しかし、主の計画こそが実現する。」
聖書には多くの男性が登場します。神のために戦う勇士としての姿は目標とするところですが、一人の父としての姿はあまり見えてこないのも事実です。私たちには「父なる神」と呼ぶことのできる理想の父がいてくださいます。理想すぎて、自分は程遠いと思われますが、その神に養い、成長させていただいていることを感謝し、覚えていきましょう。
Ⅰ.夢を語るヨセフ (37章1~11節)
ヤコブの人生は「ヨセフ」に終始します。ヤコブには子どもが12人、ヨセフは下から2番目ですが、他の子どもよりもかわいく、非常に高価な織物の着物を作って着せるなど、溺愛します。その溺愛ぶりは自他ともに認められ、兄たちはヨセフのことをひどく妬みました。17歳になったヨセフは、ある日「夢」を見ます。11の麦の束がヨセフの束を拝むと言う夢、さらに、太陽と月と11の星がヨセフを拝む夢、つまり、父も母も兄弟達みなが自分にひれ伏すと言うのです。兄たちの気持ちを考えるまでもなく、父の愛を味方につけ、無邪気に話すヨセフに、当然兄たちの怒りは頂点に達します。さすがの父もたしなめます。
相手のことを考えて言うか言わないか考えること、さらには「うそも方便」と言われるように。真実を隠して、つくろうことをも必要とされるのが、信頼し合える関係を築く秘訣でもあるのです。言いたいことをただ黙って我慢することではありません。私たちは心の内のありのままを、まず主に話すことが大切です。自分は、今話していることをどのような気持ちでとらえているのか、うれしくて自慢したいのか、妬みや恨みが隠れていないか、相手が悪いと怒っているが自分に問題はないのか、など主の前にその心を見せられるのです。
ヤコブが見た夢は特別なものであり、まず誰に語るべきか、悟る必要があったのです。
Ⅱ.「賢く」暴走する兄たち (37章12~36節)
ヨセフの夢の話を聞いて以来、兄たちは何とか「賢く」ヤコブを痛めつけられないかと、実行する日をねらっていました。そしてその日が来たのです。
父の使いで自分たちの様子を見に来たヨセフを殺すのは今だと…ただ、長男ルベンだけは、「殺さずに穴に放り込もう」と言い、あとで助けようと考えていたのです。しかし、そのルベンがいない間に、他の兄弟たちは、ヨセフがこのまま死んでしまったなら神に呪われるのは自分たち…何の得にもならないが、売れば得になると「賢く」考えたのでしょう。ヨセフをエジプトに向かう隊商に売り払ってしまうのでした。家に帰った兄たちは、父に「これはあなたの子の服ですか?」と言い、父の口から「ヨセフが獣に食い殺された」と言わせるのでした。しかし、そんな兄たちの悪い思いをも、神は用いておられたのです。全ての人の思いが揃って、彼は神のご計画の中で行くべき場所へ導かれて行ったのです。
Ⅲ.エジプトにおけるヨセフ (39章 1~2節)
ヨセフの心は傷つき、頭の中はぐちゃぐちゃでしょう。もくもくと歩き続けて、連れてこられたのはエジプト。そこでさらにエジプトの王ファラオに仕える、官僚ポティファルの家の奴隷として売られるのでした。文化も言葉も違い知らない人ばかりの中で、主はヨセフと共におられ、することすべてを成功させてくださいました。悲しみや孤独に直面し、絶望的な状況に置かれていても主が共にいることは、どれほどの慰めと希望だったでしょう。
結 論
今、「なぜこんなことが?」と思えることが、やがて起きる出来事、神の救いにつながる事を信じ、期待し祈り続けましょう。ヨセフの「エジプトへ追いやられた」現実は。神の摂理であったのです。どんな状況でも皆さんを愛し、慰め、癒し、救ってくださる父なる神の摂理の中に歩んでいる「今」を受け取ってまいりましょう。