メッセンジャー:仁科宣雄師
「買い戻される恵み」 (ルツ記 3章6~13節)
本日の御言葉
私はあなたのはしためルツです。あなたの覆いを、あなたのはしための上に広げてください。
あなたは買い戻しの権利のある親類です。
ルツ記 3章9節
聖書に出てくる「贖う」とは、「買い戻す」という意味があります。犠牲を払って本来の状態に買い戻すという行為であり、ルツ記の重要なキーワードです。
Ⅰ.主に信頼する中での苦しみ (1章)
エリメレク一家は、激しい飢饉のため異教の地モアブに移住しますが、そこでナオミの夫、結婚した二人の息子もそれぞれの奥さんを残して死んでしまいます。ナオミは一人悲劇のどん底を味わう中で、神がベツレヘムの飢饉を収めたと聞いて、故郷に帰る決断をします。二人の嫁には実家に戻るように言いますが、兄嫁のルツはナオミの信じる神を神とし、ベツレヘムの民として生きる決意をします。二人はただ神を信頼し、ベツレヘムに帰ってきました。ナオミにとっての苦しみは、目の前にある厳しさよりも、神を信じる中で、神に感謝することのできない現実、神を疑うことも否定することもできない苦しみでした(1章20,21節)。私たちも同様の苦しみはないでしょうか?
Ⅱ.恵みの中にとどまるルツ (2章)
ルツは異国人の自分にも親切にしてくれる人がいるはずだと信じ、「落ち穂拾い」でナオミとの生活を支えます。ルツが行った畑は「はからずも」ナオミの夫であったエリメレクの親類であるボアズの畑だったのです。ボアズは主を恐れ、主を愛して生きていました。ルツにある同じ主への信仰に目を留め、彼女に特別な配慮をします。「ここから離れず、ここにいなさい」と今後の必要を満たすと約束します。私たちも、主のもとにこそ確かな守りと祝福があることを覚えましょう。
Ⅲ.生きておられる主に結ばれた3人 (3章)
ボアズは地主である以上に、ナオミの夫エリメレクの土地を買い戻す権利を持つ親類でした。それは、ナオミが売った土地を買い戻すだけでなく、子を残さずに死んだ者の妻をめとり、その家系をつなぐこと=ルツと結婚し、保護する役目も含まれています。ナオミ、ルツ、ボアズは同じ主を信じ、期待したところに主の働きがあったのです。
①ナオミの祈り…ルツの幸せを祈る中で、ボアズとの結婚を導かれ、ルツがボアズにプロポーズする時を待っていました。その時を定め、ルツに何をすべきかを伝えます。
②ルツの従順…ルツは背後で働かれる主を信頼して、ナオミの言葉とおりにボアズにプロポーズします。驚くような方法でしたが、ルツの心はボアズに通じていました。
③ボアズの誠実さ…神とナオミ、自分に仕える姿を目に留め、ルツを受け入れつつも、生きておられる主への恐れをもって、自分よりも近い権利がある親類に委ねたのです。
Ⅳ.神のもとにある祝福を受けて (4章)
もう一人の親類は買戻しを拒んだことで、ボアズは正当な手順を踏み、ルツと結婚します。ナオミとルツの将来だけでなく、神から離れ、罪の道に進んでいくイスラエルの将来のために神はボアズにも働きかけておられたのです。ボアズから、オベデ、エッサイ、ダビデ、そして救い主イエスへと系図が繋がるのでした。神のもとにいた私たちは、サタンの強く、巧妙な手に引きずられていきます。神はそのサタンの手、永遠の滅びから私たちを救い出すために唯一の方法、罪のないイエスキリストという代価を払い、私たちをサタンの手、罪の力から買い戻してくださったのです。
結 論
偶像に心を寄せ、自己中心に生きる暗い時代は続いています。そのような社会にあって、主は私たちの人生に関わり、神の守りと祝福に生きる約束を実現させようと働いていてくださることを信じて、信仰のバトンをつないでまいりましょう。